食中毒について

                                             西村医院

感染防止のためには、トイレの後や食事の前の手洗い、飲食はできるだけ加熱調理したものを摂取し、加熱前の肉などを生食のものと接触させないなどの注意が必要です。

 一般に食中毒と言うと、外食した時にあたるものというイメージがありますが、家庭で調理した料理でも食中毒が発生する危険性があります。あまり知られていませんが、家庭での発生の方が外食での発生より多いです。食中毒に対する正しい知識と予防法を知り、食中毒の被害から身を守りましょう。

食中毒とは、飲食物をとった後、それが原因で胃腸障害(腹痛、吐き気、下痢、発熱)や全身倦怠などの症状が出る病気の総称です。食中毒の70%以上は細菌性食中毒です。

食中毒をおこす細菌ごとに原因食品や症状が異なりますので、それに応じた予防法を知り、食中毒の被害に遭わないよう心がけてください。 診察室でよく見られる食中毒の特徴や症状についての説明です。


1.ノロウイルス感染予防法

ノロウイルスは食品を介して感染するだけでなく、人から人へも感染します。また、感染力が強く、少量のウイルスでも感染しますので、注意が必要です。

(1) 最も基本的なことは、手洗いうがいの励行です。(特にトイレの後や吐物を処理した後など)

(2) ウイルスは熱を加えると死滅するので、ウイルスに汚染されている可能性のある食品は、中心部までよく加熱してください。1

(3) 症状がある間は、食品の調理をできるだけ控えてください。やむをえず調理する場合は素手で食品を触らずに、手袋や箸を使用し、洗浄後乾燥させた調理器具を使用してください。

(4) 下痢や嘔吐の症状がある場合は、できるだけ学校や仕事を休み、体力の回復に努めてください。

(5) 嘔吐した場合は、口の中をよくすすぎ、また、使った流し(水槽内)や水栓をよく掃除してください。

(6) 糞便、吐物には多量のウイルスが含まれていますので、取扱いには十分注意してください。

 ・便や吐物を処理する時は、マスクゴム手袋を着用してください。
 ・処理後の便や吐物は、ウイルスが飛散しないようにビニール袋等に密封し廃棄してください
 ・便や吐物を処理した後の床などは、よく消毒してください。(汚染された床の上を雑巾やペーパータオルでおおい、消毒剤※2@10倍液をかけて30分位置き、その後消毒剤等でふき取ってください。なお、使った雑巾などは再使用せず廃棄してください。雑巾を洗うときに付着したウイルスが飛び散り、流しを汚染させたり、直接人に感染してしまうおそれがあります。)
 ・便や吐物で汚れた衣服や器具などは、ウイルスが飛散しないようにフタ付バケツ等に入れて持ち運び、消毒剤※2B100倍液に浸け置きした後、よく洗濯・洗浄してください。
 ・処理した後の手洗いとうがいは、特に念入りに行ってください。

 1 食品の中心温度85度以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。

2 汚物の消毒は市販の塩素系消毒剤(漂白剤)を希釈したものを使用してください。(床の消毒は50程度[汚れがひどい場合は10倍程度]、衣服や器具の浸け置きは100倍程度に希釈したものを使用してください。アルコールや逆性石鹸はあまり効果がありません。)また、塩素系消毒剤の取扱いについては、商品に記載してある使用方法をよく確認の上、十分注意してください。(他の洗剤[特に酸性の強いもの]と混ぜると危険な場合があります。金属部分には使用しないでください。換気を十分にして使ってください。また、液が皮膚に触れないように台所用の手袋等を使用してください。)
 @    ハイター10倍液(0.5%;5000p.p.m):水1L にハイター100ml(ひどい汚れ)
 A    ハイター50倍液(0.1%;1000p.p.m):水1Lにハイター20ml (床) 
 B  ハイター100倍液0.05%;500p.p.m):1Lにハイター10ml (衣服や器具の浸け置き)


2.サルモネラ食中毒

 特徴

もともと自然界に広く分布し、牛・豚・鶏などの家畜・家禽、犬や猫などのペットも保有しています。一般に1g中に10,000個以上の菌が増殖した食品を食べると感染し、急性胃腸炎をおこしまが、幼児や高齢者はわずかな菌量でも感染し発病ます。

 原因食品

牛・豚・鶏などの食肉、卵などが主な原因食品です。特に近年では鶏卵のサルモネラ汚染率が増加し、卵内にも菌が認められることがあるので注意が必要です。
これまでに、卵焼きやオムレツ、手作りケーキやマヨネーズなどからもサルモネラ食中毒がおこっています。また、ペットからの感染も要注意です。

 症状

喫食後、半日から2日後までに吐き気やへそ周辺の腹痛がおこります。この後、水のような便や軟らかい便が出て、38℃前後まで発熱し、下痢をくりかえします。このような症状は1日から4日ほど続きますが、ほとんどの場合は点滴や抗生物質などで治ります。
カゼと症状がよく似ていますので注意してください。


 3.腸炎ビブリオ食中毒

特徴

細菌性食中毒の中で、最近までもっとも発生件数の多かったものが腸炎ビブリオによる食中毒です。この細菌は海水や海中の泥に潜み、夏になると集中的に発生します。
ただし、熱に弱く、100℃では数分で死滅し、5℃以下ではほとんど増殖しないという性質があります。

 原因食品

汚染の出発点は魚介類などの海産物です。夏になると、近海産のアジやサバ、タコやイカ、赤貝などの内臓やエラなどに付着しています。これらを生食用のさしみにするとき、さしみに移って感染します。
また、魚介類に付着した腸炎ビブリオが、冷蔵庫の中やまな板などを通じて他の食品を汚染し、その食品から食中毒をおこすこともあります。

 症状

 喫食後、1024時間後に激しい腹痛と下痢がおこります。特に腹痛はさしこむような激痛で、猛烈な苦しさを伴います。また、激しい下痢がなんども続くため、脱水症状をおこすこともあります。
発熱はあまりなく、ほとんどは抗生物質の投与などで2〜3日で回復します。ただし、水のような便が正常に戻るまでには1週間くらいかかります。  


4.キャンピロバクター食中毒

 特徴 

最近になって発生件数が増え、注目されている食中毒菌です。ふだんは鶏や牛などの腸に住み、食品や飲料水を通して感染します。少量で感染し、人から人へ直接感染したり、ペットから接触感染する例もあります。  

 原因食品

生の鶏肉や牛肉が感染源となることが多く、生乳などの畜産品や飲料水などから見つかった例もあります。また、犬や猫などのペット、ネズミなども保菌しているため、これらから感染することもあります。

 症状

感染から発症するまで2〜7日かかります。まず、発熱、けん怠感、頭痛、めまい、筋肉痛がおこり、次に吐き気や腹痛におそわれます。
その後、数時間から2日後までに下痢がおこり、水のような便が出ます。1日の下痢回数は2〜6回くらいで、ときには10回以上におよぶこともあります。


   5.ブドウ球菌食中毒

特徴

ブドウ球菌は自然界に広く分布しており、健康な人の皮膚やのどなどにもいます。しかし、この細菌が食中毒をおこすのは、汚染された食品の中で毒素をつくるときだけです。
ただし、いろいろな食品の中で増殖し、毒素は熱や乾燥にも強いという性質があるので、十分な注意が必要です。

原因食品 

 ブドウ球菌による食中毒は、おにぎりや弁当、サンドイッチやケーキなど、さまざまな食品が原因となります。ほとんどの場合、菌が調理する人の手から伝わって食品に取り込まれます。
特に、調理する人の手や指に傷や湿疹があったり、傷口が化膿しているような場合は、食品を汚染する確率が高くなります。  

症状   

喫食後、およそ3時間以内に吐き気や激しい嘔吐がおこります。腹痛や下痢も伴いますが、38℃以上の高熱になることはあまりありません。

ほとんどが24時間以内に回復しますが、脱水症状になると点滴などが必要になります。

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